大阪府立北野高校(大阪市淀川区新北野)の六稜同窓会が学校創立150周年事業として建設を進めていたW造クラブハウス「六稜倶楽部」竣工しました。

六稜俱楽部

ついに竣工 ニューノーマルなクラブハウス

六稜同窓会常任理事 徳岡浩二(92 期)

六稜倶楽部の基本構想・基本計画について

六稜同窓会から北野高校の在校生への支援について、国際協力などと同じように贈る側と受ける側の「思い」の相違があるが、受ける側としての要望はなかなか言いにくい。 不満と取られても、厚かましく思われても都合が悪い。ましてやプライドの高い先輩方からの申し出である。 150周年の記念事業は、双方が喜び合える事業にするためにどうしたら良いかを考えることから始まった。
在校生、学校側からの希望は、老朽化して耐震的に問題のあるクラブの部室(倉庫)の建て替えであった。先輩方は即座に記念事業に倉庫建て替えはふさわしくないと反応し、倉庫なら大阪府が建て替えるべきとの意見が大勢であった。
しかし考えてみるとクラブ部室は実際、倉庫としてよりむしろ課外活動の拠点であり、 生徒間のコミュニケーションの場として使われている。学校と家庭の間に位置するサードプレイスとして重要な交流の場なのである。加えて近年は体育系と文化系をミックスしたダンス部のようなクラブもあり、音楽と運動を組み合わせた活動の場も必要になっている。
国際的に活動する人材育成には文科系と理科系の二刀流が不可欠でもある。
そこで「六稜倶楽部」の構想を思いついた。東京六稜倶楽部とも重なるが日常生活を豊かにして心身の健康を大切にし、友情を深める空間の創出をどのようにすればよいか、 先生の協力もいただいてワークショップを開催した。 生徒たちからさまざまな意見や提案があり、 建設委員会を軸に基本計画としてまとめていった。 同窓会からの寄付というより、学校にこんな場所があったらいいね! という意見交換が基本となり、 常任理事会、理事会からの意見も活性化していった。 災害時の避難スペースとして使えたら良い、 そのためにはバックアップ電源としての太陽光発電があれば理想的、インクルーシブな学校生活のため多目的トイレが必要、温もりのある木造にすべきでは、など貴重な意見、 熱い議論が交わされ基本計画がまとまった。

基本設計から見積合わせ

基本計画をもとに見積用の資料を作成し、 概算見積を5社から取得し施工会社と設計を担当する建設会社を選定し、計画地の実測に基づく基本設計の見直し、実施設計を行いながら募金準備を進めていった。常任理事からは設計者選定にあたって設計競技(コンペ) を行うべきではないか、との意見も頂いた。 老朽化した倉庫の建て替えから設計コンペによる木造交流施設の建設という、 本来あるべき理想的な意見の展開となったが、残念ながら理想と現実に少しギャップがあり、 コンペ要項の作成や審査委員の選定などには時間とお金がかかるし、斬新な提案が選定された場合、その建設費の心配もある、そもそも用途は倉庫なのに。残念ながら同窓会には潤沢な資金はなく、もし募金をしてもお金が集まらなかったら、広げた風呂敷をどうやってたたむのか、 そもそも募金をするには完成予想図が必要、 などの理由から選定した設計・施工会社と構造設計を委託した103期で構造家の満田衛資教授 (京都工芸繊維大学)と協議しながら完成予想図を作成し計画をまとめていくことになった。

ウッドショックと建設資材高騰

実施設計を進める中でコロナ禍による米国の住宅建設ラッシュがまねいたウッドショックが起こって木材価格が急騰した。 またロシアによるウクライナ侵略が原油価格の高騰に加えて半導体などに関連する設備機器や建設資材の不足など難題が次々と表出した。 一方、 募金の方は在校生の心からの期待と感謝が発信されたこともあり比較的順調に推移していった。

工事着工と現場見学会

工事着工にあたって安全祈願祭を開催した。工事の安全だけでなく利用する生徒たちの安全を祈る意味も込め、公共工事では宗教色を避けて地鎮祭とは言わないが、 人智の及ばぬ世界への畏敬の念も加えて。幸い関係者一同のご理解、ご賛同を得たと安堵している。 6月には工事関係者への慰労と感謝のための上棟式と見学会を行った。
計画地は淀川に隣接する軟弱地盤で地下水位も高いことから地盤の支持力の強化と液状化を防止するため木杭を打設して地盤改良による安定化を行った。この長期間にわたって地中に木 (炭素)を埋蔵してCO2削減にも寄与するカーボンストック工法の採用においては、 施工会社の協力もあり、普及のため見学会を企画し公開した

施設完成に向けて

工事は順調に進み9月には完成予定である。既存建物の解体と撤去後の建物周辺整備。 プールとの間の目隠しフェンス設置、 排水設備の改修などの課題が残るが、 多くの方々のご協力とご寄付により新しい交流スペースを次世代に贈ることができた。あらためて感謝の思いをお伝えするとともに、この空間が永く愛され教育環境の多様性を高めて、母校が日本の将来を担う人材を輩出する一助となることを願ってやまない。