
4月13日(日)大阪・関西 万博の開幕まであと1か月余り。 果たしてパビリオンの建設は間に合うのだろうか?と心配される向きも多いだろう。一度現地に行って確認したいと思っていた矢先、大阪府木連の三宅専務の呼びかけ で万博会場内に建設中の「ウズベキスタン館 (以下:UZB館)」の見学が急遽決まり、 2月17日(月)、決行した。
案内役は万博施設の建築・設計に深く関与している徳岡設計の徳岡浩二社長 (大阪府建築士会副会長)、同館の実施設計を担った。
「UZB館」は国産杉丸太を多用したパビリオン。大阪府木連が強力にプッシュした「万博大屋根リング」の丸太案がお流れとなり、その丸太案が「UZB館」で実現したのだ。
同行者は丸太の加工を担当した北田智昭氏・栗田摩希さん(高原木材、福岡県) と構造設計1級建築士の宮崎豊氏(兼松サステック)。 昨年の実施設計段階では鉄骨だったが全く工期が間に合わず、木造化することによって 不可能を可能にした。「徳岡氏が何年にも亘って主宰した万博勉強会(情報交換会)の存在。その果たした役割が大きい」と宮崎氏。
「UZB館」のパビリオンのテーマは「知の庭」。規模は木造3階建て(実際は2階建て、丸太部分は屋上の工作 物。展示スペースが2階建て)。場所はA42。同館の背後には万博の大屋根リングが 垣間見えるが林立する丸太の景観には到底及ばない。
使用した丸太の本数は331本。 【下表】の9府県 (1熊本、 2大分、宮崎、島根、奈良、大阪、和歌山、鳥取、徳島)から大阪府木連の要請で集材された。 サイズは長さ=5m・6m・7m・8m、径級=Φ200・Φ300。 丸太は集まっても丸柱に加工するのが一苦労だったという。丸太は元末で径級が異なる。その丸太を一定の径級に加工する。その大役を担ったのが福岡の高原木材だった。徳岡氏は言う「本プロジェクトは木材調達加工等を担った高原木材の高田さんの存在がなかったら不可能でした」と。丸太には1本ずつにマーク を付け、産地の分かるマイクロチップを埋め込むという。 来場者が丸太の「タグ」をスキャンするとそれぞれの丸太の産地情報にアクセスできる。 再利用に際しても万博の レガシー材として後世に残ることになる。
見た目は木造3階建てに見える丸太部分は屋上の工作物建築基準法や各種法律が網の目のように絡んでいる。 「それを解きほぐし説得する のに苦労しました」と徳岡氏。基本設計はドイツのブリュックナー社、施工はスイスのヌスリ社、実施設計は徳岡設計。徳岡設計はこのほかクウェート館やタイ館でも木材 をふんだんに使用している。