万博施設の設計は日建設計が最多、国内外から“頼られる”事務所を調査


坂本 曜平 日経クロステック
2025.04.30


大阪・関西万博の会場内には独創的なデザインの海外パビリオンだけでなく、 シグネチャーパビリオンや民間パビリオンなど多くの建物が立つ。 休憩所やトイレなども含めると、 その数は100を超える。 施設の基本設計、 実施設計業務が多く発生した中で、活躍した設計事務所はどこか。 日経クロステックが公開情報や取材を基に各施設の設計者を調査すると、 国内外から “頼られる”事務所が見えてきた。調査したのは、 (1) 日本国際博覧会協会が発注した大屋根リングや日本政府による日本館、迎賓館など (2) 落合陽一氏などがプロデューサーを務めて建設した 「シグネチャーパビリオン」 (3) 参加国が独自に設計者、施工者を選定した 「タイプAの海外パビリオン」 (4) 民間企業が建設した 「民間パビリオン」 一一の4タイプの施設だ。 日本国際博覧会協会や万博参加国などの資料や取材を基に調べると、 各施設の設計 (基本設計または実施設計) を手掛けた設計者が浮かび上がってきた。

万博会場内に立つ主な施設の分類と、 複数施設の設計を手掛けた国内の建築設計事務所。 日本国際博覧会協会が公開している資料や取材内容を基に作成した (出所: 日本国際博覧会協会の資料や取材などを基に日経クロステックが作成)

複数の万博施設の設計を手掛けた設計者を見ると、 国内の大手建築設計事務所が多く名を連ねる。 最も多くの件数の設計業務を請け負ったのは、 日本の建築界をリードする日建設計だ。同社はオーストラリア大手の建築設計事務所Buchan (バカン)と共に「オーストラリア館」を設計。 その他、 「日本館」や「迎賓館」、屋外イベント広場の「EXPOアリーナ (愛称: Matsuri)」、 民間パビリオンの「ガスパビリオン おばけワンダーランド」「住友館」「電力館」 の計7件の設計業務を請け負った。

日建設計が設計業務を請け負った (写真:日本館と住友館は生田将人、 その他は日経クロステック、 出所 (迎賓館) 2025年日本国際博覧会協会)海外パビリオンで存在感放つ梓設計と隈研吾氏

4件の設計業務を請け負ったのは、 梓設計 (東京大田) と隈研吾建築都市設計事務所(東京・港)だ。梓設計は、藤本壮介氏や東畑建築事務所と共に万博のシンボル「大屋根リング」を設計。 その他、ドイツの大手建築設計事務所LAVA(ラヴァ)
や、英国を代表する建築設計事務所Foster + Partners (フォスター・アンド・パートナーズ) などと協力して 「ドイツ館」 「サウジアラビア館」、 民間パビリオンの「TECH WORLD」 を設計した。隈研吾建築都市設計事務所が手掛けた施設のうち3件は海外パビリオンだ。 「マレーシア館」 「ポルトガル館」 「カタール館」の他、 放送作家で脚本家の小山薫堂氏がプロデューサーを務めるシグネチャーパビリオン「EARTH MART」を設計した。

3件の設計を手掛けたのは大林組など7社

3件の設計を手掛けたのは 大柱組、鹿島、大成建設、徳岡設計(大阪市)、安井建築設計事務所(大阪市)、MORF建築設計事務所(東京・港)やTSP太陽(東京・、目黒)の7社だ。
大林組は永山祐子建築設計(東京・新宿)や構造計画研究所、アラップと共にパナソニックグループの「ノモの国] を設計。その他、会場北東側の「パビリオンワールド (PW) 北東工区] と「迎賓館」の実施設計を手掛けた。


鹿島は会場西側の 「 グリーンワールド(GW)工区」とシグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」「いのち動的平衡感覚」の実施設計業務を請け負った。大成建設は米国の建築設計事務所WHY Architectureと共に 吉本興業の「よしもと waraii myraii館]」 を設計。その他、シグネチャーパピリオン「EARTH MART」、大催事場「EXPOホール(愛称、シャインハット)」の実施設計を手掛けた。