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『めくばーる三輪』が『新建築』に掲載されました
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この施設の設計監理は、1995年の指名設計競技により特定された。敷地は、東は既存の公民館、ホール、働く婦人の家、役場などに近く、北は山並みを望み、南西は春には雲雀のさせずりが聞かれる田園風景につながっている。ここに老人福祉センター、健康福祉館、町民ホール、学習館、図書館からなる複合施設を、との企画であったため、かねてから都市や街づくりについて考えてきたことを実現できるのではないかとの期待があった。つまり、個々の建築物が構成する街区や都市をメカニズムとしてとらえてみたいと思っていた。複合施設であるからもちろん1棟で提案することも可能でったが、あえて集落的連棟配置で提案してみようと決めたのは、前述の思いからであった。
三輪町は「邪馬台の里」と称せられるほど詩情豊かな史跡や風景に恵まれているが、町の中心となる街区はいまだ形成されてはいない。これだけの施設を一挙に完成させるのだから、町のみんな、あるいはここを訪れる人たちがちょっとおしゃれをして楽しく集い、良好なコミュニティ形成に寄与するような、またファッションの背景となるような街区をつくってみたいと思った。生き物のように街区や都市が新しい建築行為を許し、その魅力をもち続けていくための布石として、緑、道、広場を計画して、そこに部分としての各施設を張りつけてみた。こうしておけば全体としての街区や都市は、ニーズに即してその魅力をもち続けられるのではないかと期待した。
緑豊かな都市景観を形成するために、緑を育てる太陽や風雨の向きに留意し、敷地に接する間口の広い南側道路と平行に構内大通りを配し、これに直行して小道を設け、この地の地理的特徴をにらんで、シンボルとなっている目配山への視線を通し、城山にも視界を開いて敷地内の広場から望む山を背景にした風景に配慮した。三輪町の物語性にちなんで敷地の中央部には日時計の針となるモニュメントを設け「日読みの広場」とし、豊かな地下水に想いを馳せて「月読みの泉」と名づけた。原則として歩車分離としたアプローチは、どこからもわかりやすく来訪者に心の高揚を促すような晴れやかなものでありたいと考えた。
本計画では、敷地の東側にある既存の街施設に近い側を文化ゾーン、西側を福祉ゾーンとして位置づけ、文化的色あいの濃い町民ホール、学習館、図書館と、老人福祉センター、健康福祉館のふたつの主な機能が社会教育という絆で結ばれた複合施設としてとらえ集落配置している。
各施設は、方位に対し約40度振られているため、2面がおのおの南東および南西に向くことになり、終日日陰となる部分をほとんどなくすことが可能となり、植生を助長できると考えた。町民ホールと学習館の間に路地を設けたが、それは「情報の小道」となづけられ、図書館に至る。わが国では、街道が流通・文化・情報の発信基地となっていたことに想いを馳せた。この3館にはそれぞれ大通りに面して企画展示コーナーを設けた。特に町民ホールのホワイエは大通りに面し、大きく開放されて、種々の催しに対応できるようにした。各施設は豊かな屋外空間により連結されるよう試みた。
こうして、この界隈は人々の移動につれて土地の歴史に関連づけられたさまざまな風景が現れ、歩いていて楽しい空間となるよう、また各建物も自己主張を少し押さえて、永くファッションの背景として生き続ける建築に徹するデザインをこころがけた。そのため、耐久性にすぐれた銅版葺きの勾配屋根や煉瓦積みの外壁などの落ち着いた集落建築群とした。自然採光、自然換気、自然排煙、外気冷房等、環境共生手法を有効に活用したデザインを心がけた。





