ゆずり葉の歩み

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21世紀の新しい木構造への挑戦 page.1

yamadaike2001.5 「木のこころ」 ~21世紀の新しい木構造への挑戦~
『本物を伝える 山田池公園施設』
 大阪府枚方市にある山田池公園は、枚方八景のひとつに数えられる山田池と周囲の豊かな自然を活かし、自然とのふれあいをテーマとした公園である。現在、数年後のオープンを目指して、公園に隣接する南側の約30haの敷地に、新たに5つの特長あるゾーンを備えた公園を整備しており、全体の構想として5つの休憩所が計画され、現在そのうちの4つの休憩所の工事が進められている。
 この休憩所は日本の伝統木造技術で構成されており、今までの木造建築では考えられなかったデザインを提案し、実践したものである。日本でも類がないと思われる「進化した木造伝統工法」であり、木の組み合わせ技術の発展が明治以降停滞している下で、組み技をより進化させた木構造を採用したもので、木構造デザインの挑戦でもある。構造的な概念を説明すると、日本古来の木造建築技術(木の組み合わせによる「合い欠き」「貫」「渡りあご」「面格子」等)を現代工学において解析し、安全性能を担保している。
 日本の伝統木造技術の構造特性を説明するならば、木と木を組み合わせ、お互いが対等の強度性状となり、相互にのめり込み合うことにより、粘りを発揮させることである。このことを十分理解していないと、一方が強くて一方が弱くなり、弱い方が急激な破壊を起こす場合がある。前記の長所を構造的表現で説明するならば、木材の横圧縮(めり込み)の降伏開始点を、その他(圧縮・せん断・曲げ等)の各降伏開始点よりも早く起こさせ、めり込みによる粘りのある破壊形式を引き起こさせる事である。これは欧米の力には力で抵抗するという構造特性の原点とも言えるトラス構造のように、限界耐力を上回る力には急激な破壊(脆弱破壊)が起きやすいシステムよりも自然体で、力を自分が破壊することによって受け流そうという日本古来の大工の考えであったと思われる。
 よく木構造を理解していない設計者や技術者が、数値計算(参考書を片手にした構造計算)だけで各伏図、軸組図と図面リスト、架構図を製作し、現場に一度も行かずに出来上がり、後日思わぬ不具合が発生したり、施工中に大工より「こんな図面通り刻まれへんで」とか「こんな使い方しないぞ」などと言われたりして、結局のところ「木のことはあまり知らないのでまかすよ」となるのが現在の一般的な状況ではないだろうか。
 オープンはまだ先で、一般の人はまだ利用することはできないが、休憩所はそろそろ姿を現してきて、それがとても魅力的であったため、一足早く取材をさせてもらった。

site◇休憩所設計にあたっての考え
 休憩所の設計にあたっては、公園を利用する市民、特に子供達に本物の木の魅力と木造建築を見せることと、海外の単なる模倣ではない日本らしい特徴を持たせることを基本理念としている。公園の環境を構成する要素には材料の選択から構造デザインにいたるまでの素材感を大切にした。また、新しい公園の指針である「五感を通して自然と楽しく触れ合える環境づくり」に応えられるよう、感性に響くものづくりを行っている。本来、西欧の概念である公園にも、その場所らしい個性を表現したいとして形態を西洋的なものとしながらも、日本的な意識を内包させることで、風土になじむ建築とすることを意図している。そこで、今回休憩所の建設にあたっては、木という素材と、伝統的な木組みが採用されることとなった。
 自然の持つ力を建築へと昇華させる過程において、素材のひとつひとつを見極めながら木のこころを活かして適材適所に配置し、それらを構成していくなかで、自然に順応するように配慮している。その点において木構造は、素材レベル、部位レベル、架構レベルにおいてそれぞれ魅力があり、基本理念を実現するものとして適切な構法である。
 生命感のある木材が、日本古来より護り育てられてきた匠の知恵と技術により、ひとつの架構へと組み上げられるさまは、様々な表情を醸し出し、いのちを育んできた一本一本の木が場所を変え、かつての森を象徴するかのように感じさせている。
<次につづく>

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『大原町の家』が『hiroba』に掲載されました

hiroba-20001

大原町の家 / 2000.1 hiroba

 洋風スタイルの家に住み、東京や海外など多方面で業務を手がける建築主の要望は、真にくつろぐことのできる日本的な良さを生かした住まいであった。両親と共に若き日を過ごした旧家(母屋)が解体されることになったため、懐かしいシーンを新しい住まいに再生し、味わいのある住環境を創出することがテーマとなった。時がもたらした美を、新たな材料と空間に共生させ、貴重な材料を後世に伝承するため、旧家屋の部材を幾度となく実測、記録して設計に盛り込み、完成まで建築主と共に試行錯誤を繰り返しながら、設計管理に努めた。
 慣れ親しんだ形態や風合いを生かすため、新材は自然塗料(柿渋・ヤシャ等)により色合わせ(エイジング)し、珪藻土くし引き仕上げの土壁を採用して人体に優しい室内環境創りにも気を配っている。
 吟味の上採用された愛着のある貴重な材料を一代限りで廃棄することへの抵抗を、再生コスト、意匠性など、総合的な価値観にもとづいて表現することを大切にした。
 外観は、軒先を押さえた簡素な切妻瓦屋根の構成とし、ガレージ上屋や軒樋は硫化銅の落ち着いた色調としている。 
 新生活を始められた建築主の「もう10年もここに住んでいる様です」という言葉に目的の一つが達成された様に思われた。

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『志賀町役場新庁舎』が「hiroba」に掲載されました

志賀町役場新庁舎志賀町役場新庁舎(現大津市木戸市民センター) 

 東に琵琶湖、西に比良の山並みを背景に、南北に小野、和邇、蓬莱、志賀、比良、近江舞子、北小松と7つの湖西線の駅を持つまち志賀町。湖岸に沿って「白砂青松」といわれる砂浜や松林と何重にも重なって尾根を延ばす比良の山並みは自然の雄大さを、急斜面の地形に豊かな実りを得るために知恵をめぐらし出来上がった棚田や、それらを支える石積みの連なりは、自分たちの祖先が生活する場において、如何に自然と対話しながら生きてきたかをものがたってくれる。
 来庁者も、職員も、いつも豊かな自然に恵まれていることを実感できるように、傾斜する敷地を棚田状に造成し庁舎を計画した。季節の変わり目に吹く激しい北西風から来庁者のアプローチを守るように建物を配置し、庁舎に入ったときに自然の美しさを感じ取ってもらえるように視線、視界への配慮をした。
 アトリウムは執務室を一目で見渡せるコミュニケーションを大切にした構成で、お互いの様子を感じながら執務できるように考えた。窓にはルーバー庇を設置し、一日中ブラインドを降ろさなくても執務できる、視界を大切にした計画とした。
 省エネルギーの面では、屋根面の熱に配慮した二重屋根の構造とし、夏は排熱、冬の熱は空調機に送ることで、外部の負荷の影響を軽減し、環境負荷の少ない建築としている。同時にアトリウムの熱利用により冬の省エネルギー効果をさらに増進させている。
 ライフサイクルに考慮して、本棟と設備付属棟(車庫を含む)で構成された建築は、将来の増築にも対処でき、柱のない内部空間はフレキシブルな事務室配置を可能にしている。
 周辺にはメンテナンスバルコニーを設置し、専門の清掃員でなくても、容易に窓の掃除などができるように配慮している。
 屋根と柱と梁、開口部と庇・バルコニーで構成されたモノトーンの外観は、その時々の季節や天候により光と影が建物の表情を変化させ風景と調和する。そして水墨画に現れるようなこの美しい風景の中にとけ込む建築となるように設計している。

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『平野区役所加美出張所』が「hiroba」に掲載されました

平野区役所加美出張所

平野区役所加美出張所
平野区は大阪市東南部に位置し、古い歴史と文化遺産に恵まれた地として、新旧が混在する奥行きのあるまちなみが魅力を醸し出しています。戦国時代には町の安全と自治を守るため集落のまわりに二重の堀をめぐらせた「環濠自治都市・平野郷」が形成され、近世においては河内木綿の集積地として発展し、江戸期に完成した碁盤目状の町割りや、江戸の中頃よりはじめられた夏祭りなど伝統行事の数々が住民生活の中に定着し、大都市の中にあっても今なお歴史が息づく風土と景観を残しています。
 平野区役所加美出張所は、まちの顔として交差点に位置し、情報拠点としてのメッセージ性の高いシンボリックな庁舎機能と、住民のまちづくり活動の交流拠点としての集会機能を併設しています。
設計に当たり、地域の歴史性を建築空間として具現化し、抽象的に表現するモノトーンの端正な構成により私たちの感性の奥に秘そむ新しい和風デザインを目指しました。
 内部は木のぬくもりを生かし愛着と郷愁を感じさせる格子や木製サインを採用して誰にでも親しみやすく分かりやすい計画を心がけました。

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韓国で作品集『Pro Architect』出版/毎日新聞

2000.7.6 毎日新聞
book_c05機能的過ぎる現代建築 生活重視、環境と共生へ
「人間的な癒しを感じさせる」-と大阪市在住の建築家、徳岡昌克さん(70)-の建築が韓国で注目され、作品集がこのほど、同国の建築世界社から出版された。スペインのアントニオ・ガウディはじめ世界の著名な建築家を取り上げたシリーズの1冊で、日本人では伊丹潤さん、伊藤豊雄さんに次いで3人目。徳岡さんは韓国の大学でも講演するなど国際交流を深めている。

出版されたのは1巻で一人をとり上げる「Pro Architect(プロ建築家、PA)シリーズの第17巻。「Masakatsu Tokuoka」のタイトルでA4判、224ページ。
徳岡さんは事務所設立後、約80件の建築を手がけたが、その中から第6回福岡県建築住宅文化大賞(1993年)を受賞し、建設省の公共建築百選にも選ばれた同県田川市文化エリア(美術館、図書館など) はじめ計12点がカラー写真入りで紹介されている。徳岡さんの文章10編のほか、西村征一郎・京都工芸繊維大学教授と上野淳・東京都立大教授の徳岡論も掲載されている。文章はハングル、英語、日本語の3カ国語表記。日本語が掲載されたのは、このシリーズ中で初めてとなった。
 出版のきっかけは、徳岡さんが2年前に出した「建築-生き様のデザイン」(彰国社3200円)。これを徳岡さんの次男で、同事務所社長の浩二さんが、釜山にある仁済大学の田采輝・建築学科教授に交流会で見せた。田教授は作品に注目、韓国でも出版したい、と話が持ち上がった。その後、韓国の建築世界社から鄭光泳社長と徐敬源編集長が来日。二人と会った徳岡さんは「まじめな人だ」と感じ入り「一切お任せします」と承諾したという。
その後、徳岡さんは同大学に招かれて講演。90枚のスライドを使って話したところ「学生は一生懸命聞いてくれた。質問も盛んで、日本の大学とは大違いでした。」と言う。田教授と徐編集長のロングインタビューも受けた。韓国側からは特に日本的な感性や伝統との関わりなどに興味が示された。その記録は作品集に収録され、徐編集長は徳岡さんについて「人の心を癒してくれる植物性建築家である」と賞賛している。 more

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