ゆずり葉の歩み

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ゆずり葉の歩み

『淀川消防署』が『hiroba』に掲載されました

淀川消防署
2005.4 / hiroba 淀川消防署
市民の尊い命と貴重な財産を守る消防署には災害時の即時対応と、防災機能を最大限に発揮することが求められる。当施設の計画にあたっては機動的な空間構成と、消防救助という激務に携わる人々のアメニティを重視した空間となるよう心掛けた。消防活動の規律を暗示させるシンメトリーで安定感のあるフォルムを、住宅が混在するまちなみへの威圧感を抑えるため、内部機能に応じて建物のボリュームを分割し外装材により特徴付けた。
 出動や訓練を行う動的な空間は、消防車輌や職員を引立たせる形態と色彩によりスピード感のあるシャープな表現とし、執務や休息のための静的な空間は、落ち着きと温かみのある素材を用いて、緊張が強いられる任務に冷静さをもたらすよう配慮した。
 地下空間をコンパクトにまとめ、階高差を有効利用した中2階活用や、待機室内部のユニット化などによりコスト低減をはかると同時に、良質な社会ストックとなるよう堅牢で合理的な構造計画を行い、耐久性のある素材の選択とメンテナンスや設備の更新に配慮した長寿命な建築を目指した。また、屋上・外構の緑化修景によるヒートアイランド現象の緩和、高遮熱高断熱ガラスの採用、熱負荷を考慮した室配置により省エネルギー化を行っている。
 消防活動から連想される形や色を直接的に表現するのではなく、消防署の機能や働く人々に敬意と理解を持って、その役割を最大限に引き出すことができる空間のあり方を追求している。

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高齢者向け優良賃貸住宅の課題と展望/2003.12hiroba

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2003.12hiroba

高優賃とは?
 高齢者向け優良賃貸住宅(以下高優賃)を略したもので、従来からなじみの深い特別優良賃貸住宅(特優賃)の高齢者版というイメージであるが、一般的にはまだ普及しているとは言い難いのが実状である。“介護問題”が日常的に話題となる中で、この高優賃は入居する高齢者が自立した“普通の暮らし”を続けていくための建築的、経済的な最小限のサポートを備えた賃貸住宅であり(介護施設ではなく)、段差解消や手すりの設置などいわゆるバリアフリー対応に加え、万一に備えて居室及びトイレ・浴室に24時間の緊急通報ボタンを設置し、国及び地方自治体(ベルデ石切の場合大阪府)が入居者の所得に応じた家賃補助を行う制度である。高齢者の負担が国や自治体の財政を圧迫する中、高齢者(満60才以上を対象)の生活不安に対し適切に配慮することで、本来双方の負担を低減するシステムであるが以外にその認識は低く、社会的な認知度も高いとは言えない。高優賃住宅の制度導入について、財政難に苦しむ地方自治体は、この継続的な個人に対する家賃補助がさらに経済状況の悪化をまねくのではないかと危惧されているようであるが、高齢者(特に一人暮らし)の多くが経済面よりもむしろ、緊急時の対応に不安を感じている比率が高いことを考慮すると施設への入居を選択されるよりは、むしろ社会的にも負担が少なく、時代に合った制度と思われる。高齢社会を支えるシステムはソフト・ハード両面における総合的な対コスト効果を長い目で捉えることが重要であり、大阪市など大都市において本制度が広く民間に活用されていないことは残念であり、今後の普及が望まれるところである。

高優賃の建設にあたって
 計画においては、(建設補助が得られることもあり)立地的に生活利便施設、すなわち駅、郵便局、金融機関及び医療施設、店舗などが身近にあり、同様の住宅計画が近傍にないことが条件となるが、利便性に優れ、土地代の高い場所での計画では必然的に居住面積の縮小や家賃の高負担に反映されることを考慮すると、むしろ少し離れた場所でも高機能な生活利便施設(コンビニなど)が適切な距離にあればゆとりのある居住空間や十分な日照、通風、家庭菜園の確保など入居者側のニーズにあった住宅が供給可能であることも今後配慮されるべきであろう。また行政指導においては従来の共同住宅と同様に扱われているため、駐車、駐輪施設の整備や開発負担についての考え方など、制度の趣旨にあった対応が今後望まれるところであり、車椅子の入居者もいることや駅に近い場所に誘導されているにもかかわらず駐車駐輪義務が課せられるような矛盾は解消されるべきである。計画の際には家賃補助制度が満了(概ね20年程度)しても賃貸住宅として存続しうることが重要であるから単に立地性だけでなく入居者の立場を考えた総合的な快適性の確保を視野に入れた自立可能な計画とすることが望ましい。また、整備条件に係わる指数が市域統一に扱われていることなど今後の認可における柔軟できめ細かな対応も不可欠である。 more

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『建築-ゆずり葉のデザイン』/日刊建設工業新聞

book_c012003.10.17(金) 日刊建設工業新聞 

「建築へ Vers Une Architecture」

 建築家の徳岡昌克氏が、作品集『生き様のデザイン』に次いで、建築論集『建築-ゆずり葉のデザイン』を著した。「生き様」「ゆずり葉」という言葉に見られるように、優れた建築は優れた思想とそれを支える建築家の生き方と一体である、それは継承されていかなければならないという。徳岡氏を知る人は、誰もが徳岡氏の矜持の高さと謙虚さが、多くの人々に愛され、それが建築として実現していることを指摘する。『建築-ゆずり葉のデザイン』は建築哲学の書なのである。

◇建築家53年の軌跡
 徳岡氏は51年京都工業専門学校(現京都工芸繊維大学)卒業後、竹中工務店に入社。83年同社大阪本店設計副部長で退社。徳岡昌克建築設計事務所を設立する。この間、65~67年に休職してアメリカで設計実務に就く。竹中工務店に都合33年、独立して20年、合わせて53年建築をつくり続けている。今回の著書には66年の滞米中の文章から現在まで、建築家としての全生涯の軌跡が収められている。寄贈者から約100通の感想文がきたことに触れる。
 「贔屓目に見ても、これほどいただいてうれしい。どちらかというと建築家でない人の方が多い。読むにしたがって、言わんとすることが分かってきたという。街づくりをどうすればいいか心配しているが、実際には良く分からない。そうした時に本という形なので、言っていることが深く浸透したのだと思う。これを契機に、建築のことや自分たちの街への理解が広がってほしい」
「アメリカに行ったのは35~36歳の時で、書いたのは現象だけでなく文明論であって本質的なことは今も変わっていない。それが新鮮だといってくれた人もいる。アメリカ人は今も国家に対して忠誠心があり個人として行動している。個人の自覚や見識をしっかりもてば、より優しくなれるという意味が理解できる。そうしたことを建築を通して、文明論として書いた」e5bbbae8a8ade5b7a5e6a5ade696b0e8819e200310

◇美しい街づくりを
「若い人にも読んでほしいが、いまのところ反応が少ない。日本の現状をどうするか。ただ国にすがるのではなく、自分たちでどうするかを考えてほしいからである。それには個人の自覚や見識、生き方がとても大事になってくる。そのことは子供たちや孫たちへとつながっていくことでもある。次の世代に何を残すか。建築で言えば優れた建築をいかに残すかだが、その残し方を考えざるを得ない。つくる時に個々人がもっと訓練し勉強することである」
「日本の現状は全体ビジョンがないため、取り返しのつかない方向に向かっているような感じがする。40年前、こうならなければいいがという方向へきている。文化やテイストを破壊し続けている。建築家もそれらに無関心であっていいはずはない。手を出せば水が出る、という認識では建築はつくれない。建築は総合化だから、ものをつくりあげていく過程の力が大事なのである」
「建築はその建築家が死んでも残っていく。あとは誰が使うのか。長いスパンで建築を考えなくてはならないとだめである。一粒の種がいい方向に発育し別のところで開花していくように、いい街づくりも同じである。それにはどういった環境をつくるのかを、アピールできるかどうかにかかっている」

◇錯綜する現在に方向性を示す
『建築-ゆずり葉のデザイン』は「アメリカで得たもの」「建築とはなにか」「いい街づくりを」「自作について」「エッセイ」で構成されている。いずれも単なる建築論ではない。建築を通して哲学を語っている。徳岡氏の建築は、その哲学が実現されている。景観賞など受賞作品が多い。そこに住む人たちが、どう生活すればいいのかを提案し続けているからである。建築づくりとは何か、建築家とは何か。錯綜する現在にあって、改めてそのことを考えさせてくれる。

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高優賃貸住宅「ベルデ石切」の取り組み/2003.5.30建設通信新聞

 ◇高優賃貸住宅「ベルデ石切」の取り組み

ベルデ石きり

ベルデ石きり

:制度活用し低コスト・高サービス  高齢者向けの新しい住宅供給システムとして高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)制度が注目されている。
2001年施行の「高齢者の居住の安全確保に関する法律」にもとづき、民間事業者に対し国・都道府県が建設費・入居費を助成する。

 

: 選べる間取り  従来の特別養護老人ホームと異なるのは、間取りや広さを入居者が選択できるなど、ユーザーである高齢者の自主性が確保されている点だ。大阪府東大阪市西石切町に完成した「ベルデ石きり」は、高優賃制度のほか都市基盤整備公団の民営賃貸用特定分譲住宅制度(民賃制度)などを活用することで建設コストと入居者負担を軽減、公的サービスと民間事業者の利点を生かした低コスト・高サービスの高齢者向け住宅を実現している。

 ベルデ石きりは、高齢者の自立を基本とし、入居者が従来どおりの生活を営めるよう所持品を多く持ち込むことを想定した内部空間となっている。近鉄新石切駅前の至便な立地に加え、西側には生駒山系をのぞむロケーションにも恵まれている。設計を担当した徳岡昌克建築設計事務所の徳岡浩二社長は「現在の高齢者福祉は、重度の介護に力点が置かれているが、その一方で比較的健康な高齢者が自立した生活を営むことができる環境についてはいまだ不十分なまま。高齢者が尊厳を持って生活できる空間を追及した」と話す。

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竹城台の家が『建築家と喜怒哀楽してつくる家』に掲載されました

建築家と喜怒哀楽してつくる家

建築家と喜怒哀楽してつくる家

2003.4月刊建築ジャーナル/編集部が選んだ52人・大阪篇    落ち着きは「統一感」と「視線の対話」から

竹城台の家

<抜粋>
ピアノを弾く令嬢の絵。その額縁の前は中庭で、透かしのレンガの塀が建つ。小鳥が植栽の上でさえずる。実はこの「絵」、居間から見たピアノ室。窓枠が「額縁」に見える趣向である。「ここから練習に励む娘の姿や、家全体が見渡せます」と建て主のS.Mさん。家は、中庭を囲み「コの字」状に建つ。
 「視線の対話」をテーマにした建築家・徳岡浩二さんのプランは、S夫婦には新鮮だった。1年かけて相談した4社のメーカーの案は「南側に庭」など、画一的なものばかり。そこで意を決して訪ねた建築家はとても独創的で気さくだった。「徳岡さんはインテリアも重視して設計を考えます。だから、週末の打ち合わせの後は恒例の「相談会」。詳細なリストを前に、タイルから照明器具に至るまで細かく選択しました」と話す夫のMさん。
 室内はシックで、赤茶色の床板が白壁になじむ。カーテンやシャンデリアの金具には上品なゴールドのアクセント。部屋全体の色が、落ち着いた雰囲気を醸す。つくり付けの家具も深い赤茶。その一つ、今の収納棚にはテレビがピタリと納まる。オーディオ機器のセレクトやスピーカーの配置まで徳岡さんが配慮した。
 「家全体に統一感があるのでくつろげ、時間がゆったり流れます」とMさん。「とくに朝、庭に出て木々に水をやるのが楽しい。表情豊かな赤レンガもいい。四季の変化をカメラにおさめ、年賀状に使うつもりです」。
 竣工したとき、「ここ、私の家?」と喜び、跳ね回った子どもたち。精魂込めた家で、家族との一体感のなかで暮らす。玄関のガラスのオブジェは「集い」を表現した徳岡さんとグラスアーティスト・三浦啓子さんとの合作。朝の光で清楚に輝く。

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