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大阪市立北稜中学校 竣工しました
所在地:大阪市北区天満橋1-1-58
コンセプト
隣接地に国指定重要文化財の泉布観、超高層住宅・オフィス群のOAP、下町風情を残した低層住宅群を控えた北稜中学校は、多様な地域形態の結節点である。低層部を白色レンガタイル、上部をコンクリート打放しに白色カラークリア仕上げ、アクセントカラーとして泉布観の建具・軒裏で使われている緑色を引用し、地域の拠点として歴史を継承しながら求心力のあるシンボリックな形態かつ親しみやすいデザインを目指した。
大ボリュームとなる屋上プール付講堂兼体育館については、縦ラインの要素を減らす為に桁行の柱スパンを広くとり、横長窓、水平ルーバー、ガラリ、PC庇等により水平ラインを強調した伸びやかなデザインとすることで、周辺地域への圧迫感の軽減、通う生徒たちの健やかな発育を促すためのヒューマンスケールな空間形成を心掛けた。
時代にあった教育の必要性について
「教育とは生きる力を養う」ということと考えるが、毎年多くの人々が自ら命を絶つという現状を思うと、残念ながら戦後教育に問題があると言わざるを得ない。限界を克服し、困難に打ち勝つ能力に、なぜ衰退が起こったのであろうか。
家族社会、集団社会の我が国は、西欧と比較して自立年齢が遅い、また場合によっては一生自立せずに生きていける。大人になりきれていない若者とはニートに限ってのことではない。しかし一世帯当たりの人口は減少傾向にあり、西欧先進国のように二人を切るのも時間の問題であるから、教育に孤独への備えは必須である。良き友人や生きがいを見い出す能力は、経済や地位に左右されない青春時代にこそ身につけておきたい。情報化社会において知識を習得するのには在宅でも可能であるから、同世代の子どもたちが、集まって学びあう空間である学校の役割を活かし、交流、発表など、あらゆる機会を通じて友情を深め合い、自立心を高めさせるよう努めなければならないだろう。国際化の中で、日本社会はますます厳しくなる。東京では10組に1組が国際結婚ということから考えても、単純労働者を受け入れない我が国の保護政策が崩壊するのも近い。これからはヨーロッパ並みの「人種間競争を生き残る能力」が不可欠である。その上、今の子どもたちは高齢化社会という重荷を背負ってこの厳しい環境に立ち向かっていかねばならないのだ。
中墨をとって左右に偏せず
中墨とは中心線のことで、大工さんが、工事現場で墨つぼと墨糸を使って材木に線を引くのを見たことがある方も多いかと思いますが、その真中の線のこ とです。最近はプレカット工法(あらかじめ工場で材木を決められた寸法に加工して現場搬入する方法)の普及もあって、まるでプラモデルのように、架構が組 み上げられ、さしがね(かな尺)などと同様に、あまり見かけなくなってしまいました。子供の頃、現場で墨糸がピンと張られ、軽子(墨糸の先端についた針の ついた持ち手)で固定された糸を、大工さんが弾いて墨を打つ様子を見るのが好きでした。その一瞬の緊張感は、周りの空気まで清めるようで、人の生命と財産を守る建築づくりを、神聖な行為に感じさせたものです。
ホームページ改訂にあたって:コミュニケーションをかたちに
絵画や彫刻のような孤高の創作と建築は少し違います。建築主の要望や社会の要求、場所との応答を繰り返し、議論や葛藤を乗り越えて描き、多くの人々の力を 借りて創り上げる対話の芸術です。情報化社会は「対話」のあり方を日々変化させており、それに合わせて情報の提供方法も、様々な選択を可能とさせながら、 より早く、正確に、また詳しく便利に対応していかなければならないでしょう。ホームページ改訂にあたり、変わらない心を伝えるために、時代の要請に応じた 伝え方を追求しました。そして今後も順次、成長発展させていただく所存です、設計と同じように。

<オランダ通信> 水辺の国土計画と水辺都市
建築人 No.538 2009.4
オランダにおける都市・住宅整備と水辺利用 / 鈴木 綾香
はじめに
神は世界を造りたもうたが、オランダはオランダ人が造った―これは、オランダ人が胸をはって口にする有名な言葉です。またこの言葉は、13世紀から始まった干拓事業をはじめとする治水政策が、オランダ都市計画史の中でどれだけ重要かを示しています。本稿では、オランダの都市計画の特色と、2008年10月に芝浦工業大学・松下潤教授によるオランダ調査研究旅行へ同行した際に訪れた、新興住宅地をはじめとするオランダの水辺住宅について紹介します。
国土と水環境
ライン川下流の低湿地帯に位置し、国土の1/4が海面下にあるオランダでは、古くから高潮の被害に悩まされてきました。オランダの国土は関東平野とほぼ同じ面積ですが、その多くが、遠浅の海岸に防波堤を築き、風車で水を汲み出して農地としたポルダー(polder)と呼ばれる干拓地です。アムステルダムから西、あるいは北へ向かう車窓からは、都市部を過ぎた頃から見渡す限りの田園風景が広がります。線路や道路のすぐそばで放牧されている牛、馬、あるいは羊やガチョウなどを囲う柵はほとんど見られず、細い水路が田圃のあぜ道のように縦横に走っているだけです。しかも水面と放牧地との高低差はほとんどなく、雨が降れば溢れそうにも見えます。どこまでも広くぬかるんだ緑の農作地帯が、オランダ人にとっての原風景でしょう。
首都圏のすぐそばに位置するこの広大な緑地は、その形状からグリーンハートと呼ばれ、ランドスタッド(Randstad/首都圏域)内で土地利用制度により保全されてきた地域です。オランダの国土計画は、関係する複数の省庁が連携して策定され、それに即す形でBmプラン(Bestermmingsplan)が市町村にて策定されます。これには、治水・環境・農業など全ての見地から制約される土地利用規制が含まれており、該当する地区のBmプランだけで、用途地域・建築行為の可否などを一元的・網羅的に照会できる仕組みになっています。オランダは、グリーンハートの保全をはじめ、環境と治水、土地利用管理を一体的に捕えた政策的な取り組みが、比較的早くから見られた国なのです。
都市計画と水辺
オランダの干拓の歴史は高潮対策から始まりましたが、1958年のDelta Actにより、北海の沿岸に強固な防潮提が築かれて以降、高潮対策と都市計画・河川関係の治水は別々の計画が策定されています。現在、オランダの内水対策で重要視されているものが、21世紀の水管理政策に記載されている、”retain(保水)→store(貯留)→drain(排水)”の原則です。これは、降水量の増加に対してやみくもに雨水を排除するのではなく、まずは保水、その次に貯留するよう呼びかけ、水を受容することが治水の新しい理念であると謳ったものです。この考えは、主要な国土計画である国土空間戦略(spatial/physical)にも記載され、同時に、住宅地を開発するにあたって、治水を通じて水と緑を取り入れるように奨励されています。昨今では、こうした状況下で治水上整備される水辺(保水空間)が、憩いのスペースとして住宅の付加価値となり、既成市街地の周辺で水辺環境の整備された新しい住宅地が開発されるようになりました。以下に、その一例を紹介します。





