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『奈良県農業研究開発センター』が『季刊文教施設78(2020春号)』に掲載されました

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奈良県農業研究開発センター
なら食と農の魅力創造国際大学校(池之内校舎)

奈良県農業研究開発センター・なら食と農の魅力創造国際大学校(池之内校舎)は、橿原神宮北側から当地へ「奈良県農業研究開発センター」の移転を契機に「なら食と農の魅力創造国際大学校」と機能集約・強化を行い、奈良県農業を支援する拠点施設として、池ノ内古墳群の複数の古墳が点在する圃場を含めた約100,000対の敷地に再整備されました。
周辺圃場への日影の影響を極力抑えた寄棟屋根を採用し、歴史的風土との調和に配慮して緑地・古墳や集落との共生に留意しました。研究・教育環境の多様な要求に柔軟な対応を可能とするため建物周囲と廊下天井に中間的な支援領域を設けて効率化を図り、半屋外空間が周辺環境への圧迫感を緩和しつつ屋外作業の利便性を高め、また恵まれた立地環境を活かした自然採光・通風により、快適な研究・教育施設を実現しています。
施設の内外空間に温かみのある県産吉野杉材・桧材を活用する木造化・木質化を安全性、機能性により選択しています。維持管理や準備作業に配慮した大庇により、天候に左右されない屋外作業空間を提供しました。交流を促進する大空間には大断面集成材を用い、多様で温もりのある空間を創出することで、食と農の豊かな未来を体現しています。

((株)徳岡設計本文34頁)

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はじめに

農業研究開発センターは、1895年(明治28年) 奈良県農事試験場として発足し、2014年農業研究機能の高度化を目指して農業研究開発センターに組織改編され、2016年に計画地である桜井市池之内に移転されました。オンリーワンの研究開発を目指し、県農業施策の「マーケティング・コスト戦略」を踏まえ、「品質のよいものを安定供給し、奈良のブランドカの強化を図る」ことを基本方針とした「奈良県農業研究開発中期運営方針(平成26年策定)」に基づいて、「薬用植物の安定供給(漢方)」「優良品種の育成(育種)」「加工商品の開発と加工技術の研究(加工)」「革新的な生産技術の開発(栽培)」を4つの大目標とし、都市近郊の良好な立地環境や高度な栽培技術を背景とした収益性の高い農業を継承発展させて、国際化等による農産物価格の低迷や資材費の高騰、担い手の高齢化や耕作放棄地の増加などの難題を打破していく役割を担っています。

なら食と農の魅力創造国際大学校は、地方創生、地域活性化の原動力として、全国で初めて「食」と「農」が連接した人材育成施設として、農業・農産物に関する知識を持った「食の担い手」を育成するフードクリエイティブ学科と高度な農業技術があり、農業経営センスの優れた「農の担い手」を育成するアグリマネジメント学科が連携して、高度な調理技術と幅広い知識、実践カのある「農に強い食の担い手」や川下である消費者のニーズを見極める力を備えた「総合力のある農業経営者」の育成を使命とされています。
人材育成コンセプトには1:経験に裏打ちされた技術力、2:経営センスに優れた経営・マネージメントカ、3:消費者ニーズを基本に据えたマーケッティングカと4:満足と感動を与えるもてなし力5:奈良らしさを活かした地域活用力の5つの力を養うとともに国際理解力の必要性を掲げておられます。
このアグリマネジメント学科を農業研究開発センターとともに桜井市池之内に機能集約・強化を行い、奈良県農業を支援する拠点施設として、古墳の点在するほ場を含めた本計画地に再整備する建築設計を行いました。

歴史的風土を活かし、研究・教育・交流から農業の未来を創生する場
-地域と教育・研究施設の新たな関係の構築-

周辺のほ場への日影の影態を抑えた寄棟屋根を採用し、風土と調和するデザインが緑地・古墳、集落と共生するよう配慮しました。教育・研究環境の多様な要求に柔軟に対処するため、建物外周の庇下空間を活用した内外の中間的な支援領域を設けて効率化を図り、周辺環境への圧迫感の緩和と農作業の利便性を両立させつつ、豊かな環境を視覚的に活かして、自然採光や通風を図り、フレキシプルな快適環境を提供しています。

林産業の源流を未来へとつなぐ県産材を活用した木造・木質化の追求
~農業の推進を担う研究・教育・交流のための自然とともに生きる施設~

施設内外の空間には、吉野杉・檜材をはじめとする奈良県産材を安全性や機能性により選択して採用しています。特にシンボル施設である交流サロン棟では、敷地内の古墳と新旧の対比により呼応させ、有機的な楕円形のフォルムが「温故知新の大和まほろば」を体現しています。
生徒や研究者、農業者が集い、県民相互が情報交換して高めあうホールとともに、交流のためのたまり空間、特産品などの紹介などにも利用できる透ける木格子の展示スペース、奈良の特産物の生産販売のための「マルシェスペース」などを構成した農業振興の拠点施設としました。

大断面による2方向ラーメンの木構造は耐力壁で固定せず、将来の研究内容や利活用の展開に備えて壁の撤去や移動も可能となるよう考慮しています。研究作業を効率化する質実剛健な建築として、設備配管の可変性を担保するメンテナンスバルコニーや廊下天井内のインフラルートにより室機能の更新発展に追随し、外周には大庇により悪天候時でも作業できる中間領域を設けて四季を通して活動を支える空間としました。

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