ゆずり葉の歩み

設計作品

受賞暦

お問い合わせ

トップページ > ゆずり葉の歩みトップ > コラム > 瓦による新しい風景の創出  -淡路瓦の魅力再発見Ⅱ-

ゆずり葉の歩み

瓦による新しい風景の創出  -淡路瓦の魅力再発見Ⅱ-

image02

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建築人 No.533 2008.11

 永い年月の中で培われ、日本人の心に深く刻み込まれた建築素材としての瓦に今、様々な課題が立ちはだかっています。伝統的な屋根葺き材と比較して、木造建築に不可欠な耐火性能、耐久性に優れていたことから広く普及しましたが、近代に入り、西欧化、特にインターナショナルスタイルの流入と、その後の高度経済成長による合理化、工業化が雨露を凌ぐという屋根の機能や概念を変容させ、他の材料に主役を譲ることになってしまい、地震に弱いといった本質を見誤った評価も、業界に大きな打撃を与えることになりました。その上、昨今の経済至上主義の風潮は、「ものを創る」という仕事から、その楽しみすらも奪おうとしているように感じられます。厳しい時代の流れの中でも、瓦という素材に生き続ける魅力を語り継ごうと、様々な努力が尽くされてきたおかげで、景観保全をはかる上での代表的な素材としての地位は保たれているようです。
 大都市一極集中から地方回帰へ、そして魅力と活力のある個性豊かなまちづくりへの期待を、瓦復活への追い風としたいものです。伝統とは絶え間のない創造の繰り返しであり、存続への条件でもあります。従来の魅力を保存という形で継承していくだけではなく、時代のニーズに合った挑戦が、きっと郷愁だけに終わらない新たな需要を喚起することでしょう。
 野水瓦産業株式会社の専務取締役を務める野水直哉氏は、建築家との対話を通じ、常に前向きの姿勢で作品作りを支える生産者の一人です。南あわじの工場前におかれた原寸模型を前に、ルーフィングや桟木、野路板の収まりなど話題は次々に広がり、時間を忘れるほど興味深いお話を聞くことができました。きっとその情熱が良い作品作りの根底を支えているのでしょう。
 議論が白熱したのは、瓦の特長でもある断熱性について。日本の風土にふさわしい通気性は、他の屋根葺き材が合理性の下に切り捨てた要素ですが、ランニングコストの低減に貢献すると共に、部分交換ができる材料という点でも実は合理的で、環境負荷低減という課題の中で見直されており、工夫を凝らせば、この利点を更に高めることが可能だということです。
 また瓦には様々な形態や色艶のデザインがあり、その表情はとても微妙で多彩です。特に印象に残ったのが新聖瓦。平瓦と丸瓦を一体化し、シャープでモダンな基本を漂わせる外観美が、伝統を現代に活かす魅力を備えているだけでなく、軽量化による耐震性にも配慮されており、施工性の向上により経済的にも優れていて、今後使ってみたい製品の一つです。
 瓦という素材を巡って話は次々と展開し、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。機会があれば、職人気質を持ち続け、こだわりを持ってものづくりに取り組む野水氏と、独創的な景観美の創出を目指して、是非ご一緒に取り組んでいきたいと願っています。
徳岡浩二

page_top
Copy Right (c) 2009 Tokuoka Masakatsu Architects.LTD All Right Reserved