ゆずり葉の歩み

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ゆずり葉の歩み

住まいづくりの現場から part.1

建築家カタログ

建築家カタログ2006-2007

建築のことを話そう  Get into Design !
徳岡浩二

とにかく、ものづくりは楽しい。子供のころ、図画工作の時間に夢中になって取り組んだ経験は誰でもお持ちでしょう。みんなが飽きてしまって、雑談や別の遊びを始めてもひとり黙々と作品づくりに没頭していた子供が、大人になっても同じような毎日を送っています-建築家として。寝てもさめても建築のことを考え、議論をすればむきになって自論を展開。かつて先生や親にほめられて得意満面だった顔には、苦労を物語るしわが刻まれていますが、その眼は確かに幼いころの輝きをそのまま持ち続けています。建築の仕事は趣味と実益の両方を兼ねられる数少ない仕事のひとつですが、それゆえにどうしてもモノづくりにこだわってしまう。それほど建築は楽しい。だからこそ競争相手も多く、厳しい。しかし、そんな中で仕事を得ることができ、自分のポリシーに共感を持っていただける方々と巡り会い、一緒に生きた証としての建築をこの世に遺していける-恵まれた環境にいるのが建築家なのです。
 有意義な役割を与えてくれた社会に感謝の意味を込めて、美しいものを精一杯につくり、すべての人の幸せと夢を求めて日々取り組んでいます。「建築家は白鳥のようにあれ」と先人は教えました。優雅に水面に浮かんでいるように見えても、水面下では沈まぬよう、懸命に水をかいているのです。

世界でたったひとつの空間  Original Design

建築家は独自性にこだわります。形、システム、素材-建築家のデザインしたものにひとつとして同じものはありません。たとえ面積や間取りの構成が同じでも、作品にはひとつひとつ個性があります。敷地に合わせ、建築主の要望を採り入れ、そこへさらに建築家の哲学や感性が反映されて、それぞれが独自の魅力を醸し出しています。「人生いろいろ、建築主もいろいろ」。だから建築も個性があってこそ愉しいと思いませんか?
 建築とは<存在>を問うことから始まり、そのあり方を考える哲学です。世界でたったひとりの自分という存在、縁あって巡り会ったクライアント。そして地球上のそこだけにしかない敷地-そう、人生の「出会い」を形に換え、空間に表現する仕事なのです。しかしどこにもないものを生み出すのは至難の業。「創造は神の手伝いをする神聖な仕事」といわれるのもその所以です。建築家が既製品を避けがちなのも肯けるでしょう。クロスよりもペンキ、シャンデリアよりもダウンライトなのです。
 東洋における建築家の歴史が西洋に比べてまだまだ浅いのも事実です。メキシコの建築家リカルド・レゴレッタ氏いわく「日本に限らず、アジアの現代建築には残念ながら模倣的傾向が強い。だから雑誌を見るなと言いたい」。西欧の技術や思想に学び先進国の仲間入りを果たした日本、これからは自分で考え、歩いていかなくてはなりません。豊富な情報量と知識だけではアイデンティティー、つまり自分らしさは生まれない。これから家を建てる方々も、付箋だらけの雑誌を山のように積み上げるのではなく、ぜひ自分の言葉であなた自身の「生き方」を語ってください。きっと独自の空間が生まれるはずですから。

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