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『建築人』 釜山通信 日韓の新たな交流の幕開け/徳岡浩二  

建築人釜山通信 日韓の新たな交流の幕開け
(社)日本建築家協会近畿支部・(社)韓国建築家協会釜山建築家会 交流協定の締結

 2008年10月28日、海雲台センタムホテル21階スカイホールにて(社)日本建築家協会(JIA)と(社)韓国建築家協会(KIA)釜山建築家の交流協定が調印された。
 司会は大阪府建築士会との交流も深く、建築人の釜山建築を監修していただいている、仁済大学教授、田采輝氏が務めた。両団体参加者の紹介に引き続き、KIA釜山建築家会、許会長の歓迎挨拶、JIA近畿支部長 吉羽逸郎氏の挨拶のあと、釜山市の曺 勝鎬建築政策官から祝辞が述べられた。今回の交流は2008年5月KIA側から提案があり、6月27日JIA近畿支部での検討会において基本的に了承され、9月20日に釜山からの正式な招聘の依頼を受けて9月25日JIA近畿支部より訪韓の受託が伝えられた。同時期にアルカシア大会と大韓建築学会主催の釜山国際建築展が開催されていたこともあり、日本から出江寛JIA会長、森田嘉久専務理事が、またソウルからKIA金会長も出席され両団体の新しい交流のスタートを祝福した。調印式当日には吉羽逸郎JIA近畿支部長と稲地一晃氏が釜山市役所を表敬訪問し、公共建築の発注方式や建築文化の進展をはかるための施策について意見が交換された。

 

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これからの公立中学校のあり方を巡って~新宿区西早稲田中学校の試み~

img01人生のうち最も多感な青春時代を過ごす中学校、なかでも公立中学校は国の人材育成の基盤を担う義務教育の場であり、大都市にあっては特に貴重な緑を保全できる空地としての大切な役割を持つ地域交流と防災ネットワークの拠点である。本計画においては今まで幾多の学校を設計する上で、常に課題としてきた項目について、関係者のご理解のもと実現できた点について以下に述べたい。

地域のシンボルとしての愛着を育む学校・新しい個性、西早稲田中学校らしさの創出
山手線内で有数の校地面積を有していた旧戸塚第一中学校と旧戸山中学校を統合して生まれた西早稲田中学校の空間的特長を活かすため、校舎および体育館を極力北側に集約し、校庭を最大限に確保するよう配置した。伸びやかなフォルムとリズミカルなデザインを基調として、無限の可能性を秘めた生徒たちの未来への思いを込めた。統合された両校の同窓生や地域住民の思いを新しい施設に継承するため、玄関正面にメモリアルコーナーを設け、図書館、コンピュータールームとともに情報ゾーンとしてまとめ、地域活動拠点としての導線管理や開放可能な諸室とともに構成して、旧校それぞれの懐かしいイメージを、保存された樹木や玄関から校庭を望むシーンなどの空間に織り込んだ。また交通量の多い明治通り側には高木を列植して修景し、観客席を上部に有する倉庫棟(防災倉庫、外部便所を含む)を配し、騒音・排ガスに対する緩衝帯としている。

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瓦による新しい風景の創出  -淡路瓦の魅力再発見Ⅱ-

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建築人 No.533 2008.11

 永い年月の中で培われ、日本人の心に深く刻み込まれた建築素材としての瓦に今、様々な課題が立ちはだかっています。伝統的な屋根葺き材と比較して、木造建築に不可欠な耐火性能、耐久性に優れていたことから広く普及しましたが、近代に入り、西欧化、特にインターナショナルスタイルの流入と、その後の高度経済成長による合理化、工業化が雨露を凌ぐという屋根の機能や概念を変容させ、他の材料に主役を譲ることになってしまい、地震に弱いといった本質を見誤った評価も、業界に大きな打撃を与えることになりました。その上、昨今の経済至上主義の風潮は、「ものを創る」という仕事から、その楽しみすらも奪おうとしているように感じられます。厳しい時代の流れの中でも、瓦という素材に生き続ける魅力を語り継ごうと、様々な努力が尽くされてきたおかげで、景観保全をはかる上での代表的な素材としての地位は保たれているようです。
 大都市一極集中から地方回帰へ、そして魅力と活力のある個性豊かなまちづくりへの期待を、瓦復活への追い風としたいものです。伝統とは絶え間のない創造の繰り返しであり、存続への条件でもあります。従来の魅力を保存という形で継承していくだけではなく、時代のニーズに合った挑戦が、きっと郷愁だけに終わらない新たな需要を喚起することでしょう。
 野水瓦産業株式会社の専務取締役を務める野水直哉氏は、建築家との対話を通じ、常に前向きの姿勢で作品作りを支える生産者の一人です。南あわじの工場前におかれた原寸模型を前に、ルーフィングや桟木、野路板の収まりなど話題は次々に広がり、時間を忘れるほど興味深いお話を聞くことができました。きっとその情熱が良い作品作りの根底を支えているのでしょう。

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自由な造詣で無限の可能性を開く -淡路瓦の魅力再発見Ⅰ-

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 建築人 No.531 2008.09 
 瓦産地として最も古い歴史を持つ淡路島。なかでも津井地区は数々の工場の集積する瓦のメッカです。ここで兵庫県伝統工芸品、淡路瓦久保窯元を営む株式会社タツミの興津取締役会長にお話を伺いました。「瓦生産地として代表的なのは、愛知県三河市に広がる三州瓦と、島根県大田市から西に延びる石州瓦、そして「いぶし瓦」で全国一の生産量を誇る淡路瓦です。瓦の品質を支えるのは「一に土、二に窯、三に細工」といわれていますが、特に淡路瓦は肌理の細かい滑らかな粒子の土が醸し出す、独特の風合いが自慢です。奥行きのある艶やかな美しさと繊細な細工は、強度を上げ、剥離や亀裂を起こさない性能の向上に努めています。最近は屋根の葺き材としてだけでなく、造形的魅力や吸湿性などの特徴を活かした製品開発に、挑戦しています。」とご説明を伺いながら、案内いただいたショールームには、庭園資材や敷き瓦、傘立てやプランターなどが所狭しと並び、赴きあるランプシェードやコースターなど驚きのあるアイテムも。「コースターは結露吸収するので喜ばれています。建築士の皆さんの自由な発想とデザイン力で、もっと生活に役立つ商品を是非提案していください。どんな形でもチャレンジしますよ。」と意欲的なお話に、創作意欲が刺激されました。様々な試作品や製作中の鬼瓦も拝見させていただいた工房で、若い職人の方から、鬼瓦製作における留意点を聞きました。「慎重を期すのは乾燥工程です。厚みや形状によって乾き方が異なるので、ねじれや割れが出ないよう、あせらずじっくり時間をかけるのが大切です。」卓越した技が織り成す、温もりのある土塊には、生命力さえ感じさせられました。
 外壁に使う大判平瓦など現代建築と瓦のハーモニーを追及する建材も開発中。古来から伝わる伝統技術が、最新の建築や庭園で新たな瓦の魅力が開花する予感を感じさせられました。伝統の継承と、発展には、新たなる発明が不可欠です。建築士の参賀が今、強く求められています。

徳岡浩二

淡路瓦のお問い合わせ先
淡路瓦工業組合
兵庫県南あわじ市湊134
TEL 0799-38-0570 FAX 0799-37-2030
info@a-kawara.jp
http://www.a-kawara.jp

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第1回住み慣れた我が家を維持しつつ、安心・快適を加えるリフォーム

 ◇もとの姿に再生するのもリフォームの大切な仕事

 住宅のリフォームというと、新築そっくりに生まれ変わるイメージが一般的ですが、高度な技術を駆使して、昔のままに再生するというスタイルも、リフォームの重要な役割のひとつです。とくに、建築的に文化価値の高い建物などは、外観はさわることなく、強度や安全性を高めてリフォームすることが求められます。
 阪神大震災直後、半壊状態になった芦屋のある邸宅から、リフォームを依頼されたことがありますが、その時も「もとの姿に戻してほしい」というのが施主の要望でした。この邸宅は、谷崎文学の映画撮影にも使われたことがある素晴らしい日本建築で、そのままの姿で残していくことに大きな意義があります。ところが、震災時の激しい縦揺れで、屋根棟が母屋から吹っ飛ばされてはずれた状態になっていました。ゼネコンに相談したところ、「撤去解体して新築する方が簡単」といわれ、私に相談がありました。
 ゼネコンの指摘はある意味正しくて、技術的にもコスト的にも新しい建物を建て直す方がはるかに楽だし効率的です。しかしそれでは、ここまで維持されてきた名建築が、歴史の中から消えていくことになります。こういう時こそ、高度なリフォーム技術が求められます。

 丁寧につくられた日本の木造住宅というのはたいしたもので、上手に補強したり、リフレッシュしてやれば、それぞれの部材はそのまま使えます。ですから、優秀な大工の手にかかれば、昔のままの姿に戻すのは、そう難しいことではありません。この時も、端麗な過日の建物をそのまま甦らせることができました。
 お住まいのご家族には、高齢者がおられましたので、住宅用エレベーターを設置するなど、随所にバリアフリー改修を施し、生活の快適度は格段に向上させることができました。外見はそのままに、中は安心・快適にという、リフォームの基本形です。

◇“うつし”は「型を踏襲する」日本の伝統的な技法

 同 じく芦屋のあるお宅からは、「住み慣れた家をそのまま都心部に移築してほしい」という依頼を受けたことがあります。日本住宅の古材には、今では入手できな いような希少な木材が使われていることが多く、この邸宅でも廊下の1枚板など、見事な古材が多数ありました。そうした部材にはすべてプレーナー(カンナ) をかけてリフレッシュさせ、新しい住宅にそのまま使います。そうすると、見た目は新築同様ですが、長年見慣れた住宅の古材が使われているわけですから、室内にはどこか懐かしくて温かい空気感が漂います。本物素材だからこそできる、とても贅沢なリフォームのひとつだと思います。
 こ のお宅には、見事な座敷がありましたので、この部屋だけはそのまま移築することにしました。こうした作業は、日本の文化芸術に古くからある、“うつし”と いう技法と同じです。このように、古き良さを引き継ぎながら、新しい場所の良さを生かすという創造的な作業が、リフォームには求められます。

 伝統芸能や工芸の世界ではよく、「型を踏襲する」という表現を使いますが、うつしとは先人の優れたデザインやテクニックを、そのまま使わせてもらうというや り方です。そこには、素晴らしい資産を遺してくれた先人に対するリスペクトの心があり、完成された美は何の手を加えなくても美しい、だからそのまま踏襲す べきという考え方があります。
 建築の世界でも、うつしの技法はよく使われますが、文化伝統に対する深い造詣が必要になりますので、なまじっかな新築よりクリエイティブな作業といえます。 そういう意味でもリフォームは、高度な技術力と創造性が求められる仕事です。新築が中心の建築士や大工ではできないリフォームなども多々あり、技能レベル差がはっきり出てくる分野です。

◇リフォームで見直される和の空間づくり

 しっ かりした日本建築の価値が見直されているように、最近のリフォームでは、和の空間づくりを依頼されるケースが増えています。和の空間のエッセンスという と、縁側に代表されるような中間的な領域です。間の取り方や、やわらかく区切るといった役割を持った空間をしつらえると和のムードがより上手に演出できます。
 また、和は薄くて軽いという特長もあります。そこから、十二単や襲の色目のような、重ねや合わせの文化が生まれたわけで、室内をデザインする際にも、軽快で薄いものを多く重ねるようにすると、センスよく和のエッセンスを取り込むことができます。

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